今回は水耕タイル内の液体が周囲に熱を伝える速さについて、建材別に検証した結果をまとめます。
結論だけ見たい人は最後まで飛んでください。
水耕タイルの熱伝導を気にするメリット
そもそも水耕タイル内の液体からの熱伝導を気にする場面はあまり無いと思いますが、ここを意識しておくと気温を維持するのにかかるコストもかなり減ります。
意識すべき場面を挙げると、例えば雪ん子麦を育てたいときは周囲の温度をなるべく0度以下に保つと思います。そうなると与える水の温度が気温より高くなるので、なるべく水が周囲と熱交換してほしくありません。熱交換しにくくなる建材を選んだほうが良くなります。
熱交換は常に行われるので、長期的に見ると大きな節約になります。なるべく適した建材を使うようにしましょう。
検証結果
比較する建材は、銅鉱石、鉄鉱石、金アマルガム、鉄マンガン重石、鋼鉄、テルミウムです。テルミウムは極端な例として入れました。
検証方法は次の通りです。
1.水耕タイルと周辺の気体を-10℃に揃える
2.雪ん子麦を植えて施肥し、温度を-10℃に戻す
3.水耕タイルに100℃の水を入れる
4.周囲の気温が10℃に達するまでの時間を測る
結果は、周囲が気体の場合は鉄マンガン重石≧金アマルガム>>>銅鉱石>鉄鉱石>鋼鉄>テルミウムという順で温度が上がるのが早かったです。
個人的には、熱伝導率に比例して温度上昇が早くなるのかと思ってました。実際、熱伝導率だけ見るとテルミウム(220)が断トツで高く、鋼鉄(54)、鉄マンガン重石(15)、と続きます。ところが検証結果は真逆で、熱伝導率が一番高いはずのテルミウムが一番温度上昇が遅く、順番も熱伝導率とは一致しませんでした。
考察
こうなる理由を考えるために、一度各素材の性能を見てみます。
| 建材 | 熱伝導率 | 比熱容量 | 1÷比熱容量 |
| 鉄マンガン重石 | 15 | 0.134 | 7.46 |
| 金アマルガム | 2 | 0.15 | 6.67 |
| 銅鉱石 | 4.5 | 0.386 | 2.59 |
| 鉄鉱石 | 4 | 0.449 | 2.23 |
| 鋼鉄 | 54 | 0.49 | 2.04 |
| テルミウム | 220 | 0.622 | 1.61 |
これを見ると、熱交換の速さは素材の熱伝導率とは関係なく、比熱の数値に反比例していることが分かります。では、なぜこうなるのでしょうか?
まず、水耕タイルの中の液体は、周囲の空気と直接熱交換しているわけではありません。水耕タイルという建材そのものが先に液体から熱を受け取り、その建材が今度は周囲の空気へ熱を渡す、という2段階の流れになっています。
ポイントは1段階目です。水の熱伝導率は0.6程度しかなく、これは今回比較したどの建材よりも低い数値です。ONIでは2つの物質が熱交換するとき、低い方の熱伝導率が採用されるので、建材を何にしようと、液体から建材へ流れ込む熱の量はほとんど変わりません。つまり建材の熱伝導率がいくら高くても、液体から建材への熱交換においては全く関係ないわけです。
差が出るのは、建材が受け取った熱でどれだけ自分の温度を上げるかというところです。比熱容量が低い建材ほど、同じ熱量で自分の温度が大きく上がります。テルミウムのように比熱容量が高い建材はあまり温度が変わらず、逆に鉄マンガン重石のように比熱容量が低い建材は大きく温度が上がります。
そして建材の温度が高くなればなるほど、建材から周囲への熱交換で温度差が大きくなり、周囲に流れ出す熱もそれだけ増えます。熱伝導率は常に液体側の低い数値が採用されるだけで実質意味を持たず、代わりに比熱容量が結果的に周囲との熱交換のしやすさそのものを左右していたということですね。
追加検証
しかし、第2段階では熱伝導率も重要なはずです。そこで熱伝導率が本当にそこまで重要視されないのか確認するために、今度は金属タイル(金)を下に敷いた状態で検証してみます。検証の条件は先ほどと同じです。
結果は、鉄マンガン重石≧金アマルガム>>>銅鉱石>鉄鉱石>鋼鉄>テルミウムという順で温度が上がるのが速く、先ほどと順位が変わりませんでした。
これも予想外でしたが、これは熱伝導率の影響が埋もれてしまっているだけだと考えられます。水の熱伝導率は0.6程度なのに対し、2段階目は建材と金の熱伝導率を組み合わせた値になり、水よりずっと大きな値になります(水耕タイルが金アマルガム製でも、金との組み合わせの熱伝導率は10.95になります)。しかし1段階目は常にそれよりも小さいままです。
2段階目の熱伝導率が建材によって変わっても、そもそも1段階目で流れる熱の量を決めてしまうので2段階目の差は全体の速さにほぼ影響しないという理屈だと思います。
まとめ
検証してみた結果、水耕タイルの素材による熱交換の速さは
1.鉄マンガン重石・金アマルガム(ほぼ同着)
2.銅鉱石
3.鉄鉱石
4.鋼鉄
5.テルミウム
という順番となり、比熱容量が小さいほど内部の液体の熱交換が速くなるということが分かりました。
この結果から、内部の液体の熱を周囲に伝えたくない時は鋼鉄や鉄鉱石、伝えたい時は金アマルガムがおすすめです(熱伝導率の低さだけで選ぶと逆効果になるので注意)。鉄マンガン重石は金アマルガムと同等以上に熱交換が速いですが、埋蔵量が少なく融点が極めて高いため、他の用途に取っておいたほうがいいです。
今回はたまたま水耕タイルで検証しましたが、熱伝導率だけで建材を選んでいる場面は他にも意外とあるかもしれません。一度自分の拠点の設備も材質を見直してみると節約ポイントが見つかるかもしれませんよ。


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